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「ウナ」物語(前編)

 わが家で飼育している生き物は基本的に鳴かないので、感情表現に乏しい。最も高等なのが、は虫類のクサガメで、彼らは私を見ると水に飛び込み、「餌をくれ」といわんばかりに手足をバタバタさせて泳ぎ出す。見方によっては尻尾を振る犬と同様に思えなくもない。それでも名前はない。

 現在、最もメインのクワカブに至っては、数が多すぎて、名前どころではない。20年以上続けている熱帯魚も同様である。なのに「うなぎ」には名前がある。もっとも「ウナ」という名が、うなぎの名前と言えるのか?という根本的な問題はあるのですが・・・                  

 ウナがわが家にやって来たのは2002年の8月のことでした。私の住む町の4丁目町会では、自営消防団の放水訓練を兼ねて、「夏休み生き物つかみ取り大会」というイベントが催されます。舗装道路に土嚢を積み、そこに2方向から放水、即席の池を作り、ドジョウやらカエルやら、ザリガニやらと水生生物を放流して(ぶん撒くという方が適切かな?)、これをつかみ取りさせるのです。つかみ取りの最中も放水は続き、参加者はずぶ濡れになるという豪快なイベントです。そして最後に放流されるウナギのつかみ取りで、イベントはクライマックスを迎えます。

 ウナギが撒かれると同時に、文字通り大人げない大人達が乱入します。それぞれ、網だのザルだの軍手だのと、用意してきた秘密兵器でうなぎを追いかけるのです。夕食のおかずにするために。しかし、ウナギがそう簡単に捕まるわけもなく、ほとんどのおやじ達は子供達から「パパだめじゃん!」という冷たい視線を浴びて、祭を終えるのでした。

 この修羅場に素手で初参戦し、うなぎを2匹ゲットし、息子のお友達のママ達に「素敵!ワイルドね。」と言われる筈が、「漁師だ!」と引かれたのが、何を隠そうこの私です。夏は麦藁帽子をかぶっているのが災いしたかもしれない。(そういうことじゃないでしょう・・・♀の人談)いずれにせよ、夜のお菓子ウナギパイで育った静岡県出身者としては、ウナギのつかみ取りで東京もんに負けるわけにはいかないのでした。

 そんな訳で、ウナはわが家にやって来ました。食べられるために。

中編に続く・・・

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